情炎の花〜その瞳に囚われて〜
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今日のショーも満員御礼で無事に終了して、歩いて帰る。

祖母が他界して17歳でこの街に逃げてきてからいつの間にか6年。23歳になった。

私を雇ってくれた店長には本当の20歳になった時に正直に話した。
かなり驚かれたけどなんとか見逃してくれた。

今でもまだボロアパートに住んでいる。
住んでみれば都だ。

店ではド派手なメイクと衣装を着てポールダンサーとしてショーをこなしているが、ひとたび仕事が終わればすぐにメイクを落とし、ティシャツとサイドにラインの入ったジャージのジョガーパンツに着替える。
そこにキャップを目深に被って白のスニーカーを履いてリュックを背負って帰る。

今日は雨か。
傘持って来なかった。

本降りになる前に急いで帰ろう。

その時だった。
1匹の子猫が目に止まる。
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