情炎の花〜その瞳に囚われて〜


「な、なんで?」

「好きってどういう感情ですか?」

「いや、俺は…。凪ちゃん気になる人でもいんの?」

俺は凪ちゃんの質問には答えず、逆に質問した。
まさか、凪ちゃんも玄の事…?

凪ちゃんからそういう話は聞いた事がなかったから、てっきり一方的に玄が想いを寄せてるものだと思っていた。

「はい。ずっと気になって仕方ない人がいます」

凪ちゃんは珍しく言い切った。

「ち、ちなみに、どんな人? 名前とか」

「名前…。実は、話した事ないんです。声も聞かせてもらえなかった…」

え? それってやっぱり…

「雨の日に、助けてもらって…」

助ける?
て事は玄じゃない?
あいつはそんな事しない。
俺は例外だった。

「それで?」

「その…ジャケットを置いて行ったんです。そのジャケットに名前の刺繍がありました」

「なんて書いてあったの?」

「G.K」

玄と同じだ。
嘘だろ…
両想い?

ドクンドクンと心臓がけたたましい音を立てる。
< 82 / 259 >

この作品をシェア

pagetop