情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「な、なんで?」
「好きってどういう感情ですか?」
「いや、俺は…。凪ちゃん気になる人でもいんの?」
俺は凪ちゃんの質問には答えず、逆に質問した。
まさか、凪ちゃんも玄の事…?
凪ちゃんからそういう話は聞いた事がなかったから、てっきり一方的に玄が想いを寄せてるものだと思っていた。
「はい。ずっと気になって仕方ない人がいます」
凪ちゃんは珍しく言い切った。
「ち、ちなみに、どんな人? 名前とか」
「名前…。実は、話した事ないんです。声も聞かせてもらえなかった…」
え? それってやっぱり…
「雨の日に、助けてもらって…」
助ける?
て事は玄じゃない?
あいつはそんな事しない。
俺は例外だった。
「それで?」
「その…ジャケットを置いて行ったんです。そのジャケットに名前の刺繍がありました」
「なんて書いてあったの?」
「G.K」
玄と同じだ。
嘘だろ…
両想い?
ドクンドクンと心臓がけたたましい音を立てる。