情炎の花〜その瞳に囚われて〜
抗争
〜玄side〜

パァン!

「クソ!」

「おい! どこのどいつだ!」

防弾の車内で松田と組員の怒号が響く。

「うるせぇ。落ち着け」

「若!」

「弾は当たんねぇ。ほら援護もきたろ。チャカよこせ」

俺は松田からチャカをもらい弾を入れる。
ったくよ。

凪の店の近くで余計な事してくんじゃねぇよ。

こんな時でも俺は特に動揺はしない。
こんなんいつもの事だ。

よっぽど凪が変な男に襲われそうになった時の方がヤバかった。

「ははは」

思わず思い出して笑ってしまう。

「わ、若⁈ イカれてるんすか?」

松田が銃撃されて動揺からか馬鹿な事を言っている。

「あ?」

「さ、さーせん! あっちの車に移りましょう!」

「いや、待て。あいつらここでやっちまう。こんなんで逃げたらなめられんぞ」
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