情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「凪! 凪! しっかりしろ!」
凪が刺された。
彪の親父に。
俺を刺そうとした彪の親父に。
彪をこいつから逃した俺を。
俺は凪を抱きかかえ傷に強く手を当てて止血する。
クソ!
止まらねぇ!
すると今度は彪が現れ、俺の手から落ちた銃をとって自分の親父に向かって発砲しようとしている。
「彪! やめろ!」
間一髪で、組員が彪の銃を取り上げた。
「殺してやる! 許さねぇ!」
いつも穏やかな彪が組員に抑えられ車に乗せられる。
彪の親父も取り押さえられている。
俺もすぐに駆けつけた別の車に凪を運んだ。
「凪! しっかりしろ! 聞こえるか!」
凪はそっと目を開ける。
「凪! 今すぐに病院に連れてくから! 死ぬな! 生きろ!」
凪は俺の顔に手を伸ばす。