情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「名前は…?」

は?

「玄だ」

「げ…ん…」

凪の手を強く握り自分の頬に当てた。

「ああ。凪」

そう言って俺が微笑めば、凪は嬉しそうに微笑んで目から一筋の涙を流しまた目を閉じた。

「凪⁈ 凪! おい! しっかりしろ!」

クソっ!
何で…何で凪が…

「おい! 急げ!」

「若! もう着きます!」

そしてそのまま凪を抱き上げ待機しているストレッチャーにそっと乗せた。

「小野寺凪。23歳。AB型+。15センチのナイフで左後ろの腹部を刺されてる」

そう告げて走り出すストレッチャーを見送った。
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