情炎の花〜その瞳に囚われて〜
〜彪side〜

俺はやっと落ち着きを取り戻し、オペ室の前で項垂れている玄の元へ駆けつけた。

「凪ちゃんは⁈」

「オペ中」

「玄…わ、悪い。ほ、本当に。親父が…」

「お前の親父は俺と同じだろ。あいつは、お前の親父でもなんでもねぇ」

俺はその場に膝から崩れ落ちた。
涙が止まらねぇ。
なんなんだよコイツは。

ここに来る前、なんて言えばいいのか死ぬほど考えた。

まさかあのクソ親父がまだ生きてたとは。

そしてアイツは俺の一番大切な玄を刺そうとした。

そして玄が初めて惚れた女である凪ちゃんが、玄をかばって刺された。

クソっ!
なんでだよ…

「お前のせいじゃない」

玄は俺の頭を乱暴に撫でた。
そしてあの時みたいに、あの初めて一緒にお風呂に入った時みたいに背中をパーンと叩いた。
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