情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「凪ちゃんは、誰よりも早く気付いて迷わず飛び出した。名前も、職業も、話したこともないお前の為に。あんな強い子いないよ」
「強い子…。そうだな」
「凪ちゃんは、コーヒーは甘いのが好き。意外と魚より肉派。蕎麦よりうどん。パスタよりラーメン。犬より猫派。あとは…」
「おい。やめろ。うるせぇ」
「なんだよ! お前知らねぇだろ」
「苛つく。お前凪のなんだよ」
「友達第一号だよ」
「ッチ」
そんな事を話していればオペのランプが消えた。
いつの間にか松田とほかの組員数人も後ろに待機していた。
俺たちは立ち上がる。
「オペは成功しました。すぐに適正に止血していただいたおかげで、出血もそれ程多くありませんでした。傷も思ったより深くなかったです。傷跡は多少残ると思いますが」
そう言ってドクターは去っていった。
俺たちは二人でまたドサッと黙って椅子に腰を下ろした。