情炎の花〜その瞳に囚われて〜

「玄!」

声が出た。
良かった。
気付いてくれた。

玄さんが驚いた顔で私を見てる。

「待ってって言ったのに…」

玄さんの大きめの黒い瞳が揺れている。
明るい所でちゃんと見ると本当に吸い込まれそうな瞳。
二重が綺麗で、アーモンド型。
まつ毛も長い。
冷たく鋭い眼光をしていると思った瞳は、良く見ると瞳の奥は優しく綺麗で、どこか甘さのある目をしている。

私は玄さんの顔に手を伸ばして綺麗な頬に触れた。

「玄。置いていかないで。連れてって。好きなの」

私はどうせ夢だし本音を言ってもいいだろうと好き勝手に想いを告げる。

「凪…」

玄さんに抱きしめられる。

ん?
あったかい。
抱きしめる力が強い。
なんかリアルな夢だな。

ん?

夢だよね?

じゃなきゃ…

「え…?」

「凪?」

「玄さん?」

「玄」

「え?」

「さっきは呼び捨てだったろ」

「これ、夢…でしょ?」

「夢じゃない」
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