情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「んな⁈ いったっ…!」
急に動いたからか左後ろの脇腹に痛みが走った。
「凪!」
そしてハッとする。
「怪我は⁈ 無事なの⁈」
たぶん今の私は眉間にめちゃくちゃシワを寄せて睨んだみたいな顔をしてる。
彼はまた驚いた顔をする。
「俺?」
俺?
「他に誰がいるんですか!」
あんな銃撃戦みたいな事して。
危ないったらありゃしない。
そう。私はあの時、彼が刺されそうになって必死に走った。
「いや。お前だろ。俺はあんなのなんともない」
そんなっ…
どれだけ心配したと…
あれ。私、彼の事になるとこんなに…
怒ったりして…
感情が忙しい。
「あ、危ないでしょ。あんな所にいたら」
ムスッとしてしまう。
「いや…」
「…逃げないと。ああいう時は」
「いや…ああ。悪い。心配かけて」