情炎の花〜その瞳に囚われて〜
「凪。俺もお前が好きだ」

俺もって…

「嘘…」

「嘘じゃない。ずっと、一目見た時からお前に惚れてる」

彪くんが微笑んでそっと病室から出て行った気配がした。

「本当に?」

「ああ。もう、我慢するのはやめだ。凪、俺の女になれ」

「女?」

「彼女って意味だ」

そう言って、彼は微笑んだ。

「玄さん…」

「玄」

そうだった。
呼び捨てでいいって言われたんだった。

夢だと思ってたから言えたけど…
やっぱりちょっと恥ずかしい。

「玄…」

「凪…好きだ」

玄の瞳が真っ直ぐ私を射抜くように向く。
顔が近づいたと思えば、ゆっくりと優しくキスをされた。

何度も。何度も。

前のキスともまた違う、ついばむような優しいキスだった。
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