近付きたいよ、もっと、、、。
 真彩が名乗った事で、流石にいつまでも不機嫌さを出す訳にはいかないと思い直した咲結は、少しだけ戸惑い気味に、

「……は、初めまして、橘 咲結です」

 挨拶をして名前を名乗る。

「咲結ちゃんの事は、朔太郎くんから聞いてるのよ。ごめんなさいね、何だか変な勘違いさせちゃって」
「いやいや、別に姉さんが謝る事じゃないっすよ。コイツが勝手に勘違いしただけですし」
「でも……」
「つーか、咲結は何でこんなとこにいんだよ? ここ、家の近くじゃねーじゃん」
「あ、うん……友達と寄り道した帰りに、寄っただけ……」
「しゃーねぇな、それじゃあ送ってやるからさっさと買い物済ませろよ。俺らもすぐ済ますから」
「え、いいよ! 一人で帰れるし」
「遠慮すんなよ。いいっすか、姉さん」
「私は全然構わないよ。咲結ちゃんさえ良ければ是非」

 そう言われてしまうと、咲結から断る事が出来なくなる。

(何これ? どういう展開?)

 怒りに任せて声なんて掛けなければ良かったと後悔しながら咲結は、

「……それじゃあ、お願いします……」

 成り行きで買い物を済ませた後、朔太郎に送って貰う事になってしまったのだ。
< 33 / 68 >

この作品をシェア

pagetop