近付きたいよ、もっと、、、。
「あ? 何だよ、いきなり――っつーか、今何て言った?」

 いきなり喧嘩腰で話し掛けられムッとした朔太郎だったが、玉井の言葉に引っかかりを感じてすぐに問い返す。

「だから、橘が変な男たちに絡まれたのはアンタのせいかって言ってんだけど」

 問い掛けられた玉井もまた、もう一度同じ言葉を口にすると、朔太郎は玉井から咲結へ視線を移し、

「おい咲結、どういう事だ?」

 彼女に状況説明を求めた。

「あの、とりあえず車に行こう、さっくん。玉井、さっきは本当にありがとう! それじゃあまたね!」

 説明を求められた咲結はひとまず玉井から離れて朔太郎と二人になりたくて、車に行ってから話すと説明した後で玉井にお礼を言って、早々にその場から離れて行った。

 残された玉井は去って行く咲結を心配そうに見つめた後、手を引かれて行く朔太郎へ怒りの視線を向け続けていた。

 車に戻り、シートベルトを締めた二人。

 朔太郎はすぐにでも先程玉井の言っていた話について聞きたかったものの、住宅街の路上にいつまでも車を停めてはおけないと落ち着いて話せる場所を求めて車を発進させる。

 無言の車内、どこかへ向かって走り続ける中、咲結はポツリと口を開いた。

「……さっきの話だけど、実はね、帰り際、この前駅前でさっくんと怪我をした男の人を囲んでた相手の人たちが、私のところへ来たの。『海堂 朔太郎の知り合いだよね』って」
「やっぱり……アイツらが……」
「あの人たち、何なの? 私の名前、知ってた」

 そう話す咲結を横目でチラリと盗み見た朔太郎は、彼女が震えているのを確認すると、すぐにでも抱き締めてやりたい衝動に駆られていく。

 すると、ちょうど駐車場のある大きな公園前を通り掛かった朔太郎はすぐにその敷地に入って端の方へ車を停めた。

 そして、自身のシートベルトを外した朔太郎は助手席側へ身を乗り出すと、咲結のシートベルトも外してから未だ怯え、震える彼女の身体を優しく抱き締めた。
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