近付きたいよ、もっと、、、。
「さっくん、何言って……」
「あははは、いいねぇ、大切な彼女の為にプライドも捨てるってか? けどなぁ、解放した途端に態度変えられても困るし……まずは本当にその覚悟があるのか見てみないとなぁ。おい、海堂を殴れ」
馬宮は咲結を解放せずに、朔太郎の近くに立っていた男に彼を殴るよう命令する。
「や、やめてぇ!」
「ぐはっ!」
命令された男は咲結の叫び声に耳を傾ける事なく朔太郎の胸ぐらを掴むと、容赦なく一発殴りつけた。
勿論、朔太郎は宣言通り一切抵抗しない。
「……っ、これで、分かったろ? 咲結を解放して欲しいから、抵抗はしない。頼む」
再度咲結を解放するよう頼むと、馬宮は少し考えた後、
「……まあ、いいだろ。おい、女の拘束を解いてやれ」
朔太郎の要求を飲んで、咲結の拘束を解くよう命じると、彼女の拘束は解かれて自由になり、
「さっくん!」
自由になった咲結は一目散に朔太郎の元へ駆け寄った。
「咲結、お前はここから逃げろ。馬宮の気が変わらないうちに早く」
「いや! 一人でなんて、さっくんを残して行くなんて、出来ない!」
自由になった咲結に倉庫から逃げるよう言うけれど、咲結はそれを頑なに拒んだ。
「咲結ちゃん、海堂の言う通り、折角自由になったんだし、早く逃げた方がいいよ? 俺だって、組織に関係無い人間に危害は加えたくないんだ。それに、そいつと居たら、すぐまた俺らに捕まるだけだよ? だって海堂は――これから俺らが動けなくなるくらいに痛めつけてやるんだからさぁ」
そして、二人のやり取りを静観していた馬宮は手振りで仲間に二人を取り囲むよう指示を出しながらこれから朔太郎をどうするつもりなのか、愉しむように笑みを浮かべながら言い放つ。
少しずつ追い詰められていく中、朔太郎は咲結を抱き締めると、咲結だけ聞こえるように小さな声で話を始めた。
「――お前の事は必ず俺が守る。そう約束したけど、今のこの状況でお前を守りながらコイツらと戦うのは正直難しい。だから、合図を出したら走って倉庫から逃げてくれ。周りに居た見張りは倒したし、ここへ入る少し前に理仁さんに応援を頼んだから、もうすぐ助けに来てくれる。それまでどこかに隠れてろ。咲結さえ助けられたら俺は反撃に出れるから好き勝手やらせないし、何より俺はそう簡単にやられないから、心配しなくていい。今だけは俺を信じて、言う事、聞いてくれ」
「…………っ」
朔太郎を置いて自分だけ逃げるなんてしたくない。
けど、自分が居ると、朔太郎の足手まといになる。
それが分かった咲結は溢れ出る涙を拭いながらコクリと小さく頷いた。
「あははは、いいねぇ、大切な彼女の為にプライドも捨てるってか? けどなぁ、解放した途端に態度変えられても困るし……まずは本当にその覚悟があるのか見てみないとなぁ。おい、海堂を殴れ」
馬宮は咲結を解放せずに、朔太郎の近くに立っていた男に彼を殴るよう命令する。
「や、やめてぇ!」
「ぐはっ!」
命令された男は咲結の叫び声に耳を傾ける事なく朔太郎の胸ぐらを掴むと、容赦なく一発殴りつけた。
勿論、朔太郎は宣言通り一切抵抗しない。
「……っ、これで、分かったろ? 咲結を解放して欲しいから、抵抗はしない。頼む」
再度咲結を解放するよう頼むと、馬宮は少し考えた後、
「……まあ、いいだろ。おい、女の拘束を解いてやれ」
朔太郎の要求を飲んで、咲結の拘束を解くよう命じると、彼女の拘束は解かれて自由になり、
「さっくん!」
自由になった咲結は一目散に朔太郎の元へ駆け寄った。
「咲結、お前はここから逃げろ。馬宮の気が変わらないうちに早く」
「いや! 一人でなんて、さっくんを残して行くなんて、出来ない!」
自由になった咲結に倉庫から逃げるよう言うけれど、咲結はそれを頑なに拒んだ。
「咲結ちゃん、海堂の言う通り、折角自由になったんだし、早く逃げた方がいいよ? 俺だって、組織に関係無い人間に危害は加えたくないんだ。それに、そいつと居たら、すぐまた俺らに捕まるだけだよ? だって海堂は――これから俺らが動けなくなるくらいに痛めつけてやるんだからさぁ」
そして、二人のやり取りを静観していた馬宮は手振りで仲間に二人を取り囲むよう指示を出しながらこれから朔太郎をどうするつもりなのか、愉しむように笑みを浮かべながら言い放つ。
少しずつ追い詰められていく中、朔太郎は咲結を抱き締めると、咲結だけ聞こえるように小さな声で話を始めた。
「――お前の事は必ず俺が守る。そう約束したけど、今のこの状況でお前を守りながらコイツらと戦うのは正直難しい。だから、合図を出したら走って倉庫から逃げてくれ。周りに居た見張りは倒したし、ここへ入る少し前に理仁さんに応援を頼んだから、もうすぐ助けに来てくれる。それまでどこかに隠れてろ。咲結さえ助けられたら俺は反撃に出れるから好き勝手やらせないし、何より俺はそう簡単にやられないから、心配しなくていい。今だけは俺を信じて、言う事、聞いてくれ」
「…………っ」
朔太郎を置いて自分だけ逃げるなんてしたくない。
けど、自分が居ると、朔太郎の足手まといになる。
それが分かった咲結は溢れ出る涙を拭いながらコクリと小さく頷いた。