心から願っています
もう1回男子の方を見ると、友秋先輩と目があった。 でも、すぐそらされて、また竜先輩と話している。

そして、もう私達のすぐそばまで来た。

「頑張れよ」

そんなことを言われて、背中を叩かれた友秋先輩と目があった。

男子はどこかに行って、それに続いて女子もどこかに行った。 でも、横を向けば割と近くにいる。

そして、前を向けば憧れの大先輩、友秋先輩。


心臓の動きが少しずつ大きくなってくる。

なぜか、私が緊張して、不安になってる。

なんで、私が緊張しているの。

なんで…、いや、本当は…

「依織」

先輩の声がした。

自分の思考に彷徨っていて、俯いていた顔を上げる。

先輩が私の名前を呼んだ。 また、鼓動が速くなる。

でも、しっかり先輩の目を見る。

「俺の『お願い』の話、聞いてくれる?」

私は、頷いた。でも、緊張と不安は増すだけ。

先輩は一瞬みんなの方を見て、照れたように笑った。

笑ったのも一瞬だったけど、その顔を見たら、私の心臓は暴れすぎて止まりそうになった。

もう、ごまかせない。

でも、先輩が何を言うのか、全くわからない。 こんな緊張と不安だって、必要ないかもしれないし、そのほうが可能性が大きい。

落ち着こうと、小さくゆっくり呼吸をする。 そして、先輩を見る。

先輩が、友秋先輩が、フッと息をついて、私を見た。そして、

「中学の時から、依織が、、好き…です」

「はぁ」

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