心から願っています
「先、輩?」
依織の声がした。 思わず顔を上げる。
「ごめん、急すぎで」
突然こんなこと言われたら、困るのは当たり前。
でも、そしたらどうすればいいかわからない。
依織が首を振った。そして、一瞬安心したような顔になったと思ったら、
少し上を向いた。
「え、依織? な、なんで泣いてんの…?」
依織が泣いていた。
依織は首を振るだけで、何も言わない。だから、何を思っているのか全然わからない。
「え、うそ、ごめん」
やばいかも、振られる。 本当にヤバい。
どうにかしようにも、何もできない。泣いているのに、何もできない。
「あ、え、ちょっと!」
依織が走ってみんなの元へ言った。
だめだな、俺。
その場に立ち尽くす。怖くて、みんなの方も見れない。
依織、みんなに何言ってるんだろう。
「おい! 友秋! なにボケっと突っ立ってんだよ」
竜の声が聞こえた。 竜のデカい声、久しぶりに聞いたかも。
「友秋! 聞こえてんのか?」
ゆっくり、みんなの方を見る。