心から願っています
依織が見えた。 周香に抱きついて、泣いてるっぽい。

谷戸周香(ヤト シュウカ)、陸部の中で1番依織と仲が良かった気がする。


行かなきゃ。話さなきゃ。

そう思うのに足が動かない。

もう嫌われたんじゃないかって、そんなことしか考えられない。


「友秋!」

目の前に竜がいた。

「バカ野郎、来い」

竜って、こんな荒っぽい言葉を使う人じゃなかったと思う。いや、俺がそうさせてるのか。

左手首を持たれ、依織の方へ引っ張られる。


怖い。でも、話したい。

思いが交互して、もどかしくて、暴れたくなる。


依織のそばまで連れてこられて、竜が手を話した。

周香が不安そうな目で、俺を見てくる。

依織は何も言わず、頭を周香の肩に預けながら、ただひたすらに首を振るだけ。

「依織、言わなきゃ何もわからないでしょ。先輩困ってるよ」

周香が親みたいだ。 いつもはどちらかと言うか逆なのに。


すると、依織が周香から離れた。 手で涙を拭く。

数回深呼吸をしてから、俺を見た。 さっきよりも意思があるような目で。

「ごめんなさい」

は……

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