心から願っています
私は昨日から、勝ったときの「お願い」を考えていた。

こういうチャンスだから、いつもはお願いできないことが良いんだろうけど、友秋先輩に対してそういうのは特にない。

いや、あるにはあるけど、それは言えない。

先輩は何かあるのだろうか。あるから言ってきたのかな。


「それでは、1年混合リレーです。選手の紹介です。赤、木下依織さん、永瀬……」

体育祭の締めであるリレーが始まる。各学年6クラスのクラス対抗。1組から、赤・青・黄・緑・紫・白のクラスカラー。

選手紹介で名前が呼ばれ、私はスタートラインにつく。

「位置について、」

「よーい」

「パン」

私は飛び出した。

1走はチームを盛り上げるために速めの人がつく。

中学から練習して、改善してきたスタートダッシュ。前傾姿勢から徐々に体を起こしていく。

1走はセパレートレーン。カーブだから、相手との差とか、順位がわからない。

でも、早くバトンを渡すに越したことはない。

視界の右側には紫が写っている。男子だが、負けてられない。必死に足を動かす。

2走が見えて、私は地面を押す足に力を入れる。

最後まで気を抜かない。

「はい!」

2走が出した手にバトンを押し付けた。 順位は3位だった。

「ファイトー」

全力で応援する。私はリレーで応援するのが、走ると同じくらい好き。

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