アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
声は出せないし、なにもすることがない。
暇を持て余したわたしは、こくん、こくんと、眠気に襲われてきた。
……ダメっ!眠ったりしたら。
アリアさんを見つけるんだから!
そう意気込んでみたけど、うとうととしてきて、瞼が閉じてしまった。
がくんと、頭が揺れて、次の瞬間にはバランスを崩してしまう。
ガタッ!
大きな物音と共に、わたしの体が掃除用具入れから飛び出した。
どうやらわたしは、立ったまま眠ってしまっていたみたい。
慌てて教室に壁掛けられた時計を確認する。
すると。
今の時刻は、18時50分。
記憶の中では、夕方だったのに。
窓の外を見ると、空は真っ暗でだいぶ寝てしまったと気づいた。
……やっちゃった。
でもこれで、夜の学校に忍び込めたってことだよね?
結果的には、目標を達成していたようだ。
しかし、あらためて見渡すと。
夜の学校は真っ暗で、シンと静まり返っている。
いつもの学校とは、雰囲気が全然違う。
一気に怖くなってきた。
わたしは顔をフルフルと左右に振った。
大丈夫。わたしは、アリアさんの正体を暴くんだから!
こんなところで、怖がってたら、なにも取材できないよ!
それに、夜の学校が不気味ってことくらい、覚悟してたんだから。
そう、自分を奮い立たせてみたけれど。
いざ夜の学校に、わたし一人だけだと考えたら…やっぱり怖い。
不気味な夜の学校の雰囲気に、忍び込んだことを少しだけ後悔する。