アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
ヒタッ。ヒタッ。
なにかを小突いたような物音が聞こえる。
ドキリと心臓が跳ねる。
先生がカギをかけているから、正門は開いていない。
だからこの学校に、わたし以外に誰もいるはずがないのに。
冷やりと汗が背中を流れる。
もしかして……。
アリアさん!?
わたしは息をひそめて、耳を澄ます。
ヒタッ。ヒタッ。
ヒタッ。ヒタッ……。
その音は、どんどん大きくなっていく。
近づいてきている証拠ってこと。
ごくり。わたしは息をのむ。
アリアさんに会ったら、問い詰めてやろう。
聞きたいことはたくさんある。
だけどなんだか足が震えてきちゃった。
もしも、アリアさんが悪い幽霊だとしたら?
見つけてしまった途端。
死後の世界に連れていかれちゃうかもしれない。
そう考えたら。
ぞわっと全身に鳥肌が立つ。
怖くないと思っていたのに。
いざアリアさんと対峙するかもしれないと思ったら。
手も足もふるえている。
ヒタッ、ヒタッ。
足音がぴたりと止まった。
そして気配を感じる。
ぱっと顔を上げた。
すると。
「みーつけた」
心臓が止まりそうになる。