アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
な、なんで?
わたしは驚いて、口がぽかーんと空いたまま。
「え、なんで……」
目の前にいたのは、アリアさんじゃない。
ここにいるはずのない人物。
……萌香ちゃんだった。
「探したよ」
「え、いったいどうやって?」
正門玄関のドアは鍵がかけられるはず。
だからわたしは学校に忍び込んでいたんだから。
「下校するギリギリの時間に。見回りの先生がチェックし終わったあと、1階の窓の鍵空けといたんだ。その窓から無事に侵入成功!」
そう言って、イタズラに笑った。
な、なるほど!
ずっと学校に忍ぶ方法以外にも、そんな方法があったなんて。
萌香ちゃんの考えた方法は、わたしの忍び作戦よりも効率が良くて感心してしまう。
「……きてくれたんだね!」
わたしは、萌香ちゃんにぎゅっと抱き着いた。
正直、萌香ちゃんが来てくれて、ホッとしたんだ。
夜の学校。このいつもと違う空間。
誰かいてくれるだけで、こんなにも心強いだなんて。
怖くて強張っていた顔が自然とほころぶ。
それから。
「アリアさんの情報はつかめたの?」
わたしたちは、懐中電灯で照らしながら、学校を見回ることにした。
「それがさ全然。1階をぐるりとして、今は二階を探索してたんだけど。幽霊らしきものに出会ってないよ」
「そっか……」
「やっぱり、アリアさんなんて存在しないのかなー」
こうして夜の学校を一緒に歩いているのが、不思議な気分。
さっきまで一人の時は、怖くて仕方がなかったのに。
萌香ちゃんが来てくれた途端、なんだかイベントの様に思えてきた。