アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
「それは困ったね……」
「うん。でも、もういいかなー。なにもなければもういっかーって」
充分すぎるくらい夜の学校を探し回った。
だけどアリアさんなんて、存在しなかったんだ。
そうだよ。
招待状を送る幽霊。アリアさん。
なんているはずがないのに。
がっかりしたような、安心したような。いろんな感情が混ざる。
「今日はもう帰ろっか!アリアさんの記事のことは、また考えようよ!」
スクープ記事が書けないのは残念だけど。
これだけ探していないんだから仕方ないよね。
そう思って、階段を降りようとすると。
萌香ちゃんは、2階の廊下に立ち止まったまま動かない。
「そっか。残念だな」
萌香ちゃんは、肩を落として残念そう。
「萌香ちゃん? どうしたの?」
「じゃあ、私がそのスクープもらっていい?」
ぽつりと聞こえた声。
いつもの萌香ちゃんの声色と違うような気がした。
「私がアリアさんのスクープ記事書いてあげる」
そう言って、にこっと笑った。
も、萌香ちゃん?
どうしたの?
なんだか萌香ちゃんの笑顔が、不気味に見えた。
それにこんなに低い声は、はじめて聞いたから。
様子のおかしい萌香ちゃんに戸惑っていると。