アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
ドンッ!!
急に近づいてきたと思ったら、肩を強く押された感触。
ゆらりと体が後ろに下がる。
あ、危ない!
わたしは慌てて、手すりを掴んだ。
場所はちょうど階段。
手すりにしがみつかなければ、わたしは階段の下に落ちていた。
サーっと血の気が引いていく。
「な、なにするの⁉ 今階段から落ちるところだったよ!」
「もちろん、知ってるよ?」
にこりと笑う。
その笑顔にぞくっと寒気が走る。
も、萌香ちゃん?
いったいどうしたの。
「ねえ、七緒ちゃん。今までわたしに言ってきた言葉……覚えてる?」
目の前にいるのは、よく知っている萌香ちゃんのはずなのに。
わたしはビクっとしてしまう。
「『萌香ちゃんは副部長なんだから、ガンガンいこうよ』」
「『もっとスクープ取らないと!』」
萌香ちゃんが口にするのは、かつてわたしの口から出た言葉。
わたしが萌香ちゃんに言った言葉たち。
こうして言われてみて気づいた。
わたしが萌香ちゃんに言っていた言葉は、ぐさりと心に刺さるような。
励ますために言っていた言葉だった。
だけど、萌香ちゃんにとっては、棘のある言葉になってしまったんだ。