アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
「七緒ちゃんはさ、新聞部で活躍してて、一番評価されてるんだから。もう十分でしょ?」
「も、萌香ちゃん?」
なんでだろう。萌香ちゃんが、ちょっと……怖い。
「七緒ちゃんが私に教えてくれたんだよ?もっと強欲にネタをとりにいかないとって……」
そう言って、ふわりと笑う。
いつも見てきた笑顔のはずなのに。
ぞわっと寒気が走る。
「だから、私も七緒ちゃんみたく、がんばってみることにしたよ」
萌香ちゃんが、わたしに近づいてくる。
なんだかこわくて、わたしは反射的に一歩下がった。
「特大スクープがないならさ! 作ればいいんじゃないかなって思ったの!」
「つ、つくるって……?」
わたしは恐る恐る聞き返す。
「私の記事のために、体張ってくれるよね?」
いったい、何を言っているの?
混乱するわたしに萌香ちゃんは続ける。
「死ななくてもいいから。ただ、意識不明くらいだとちょうどいいかも」
い、意識不明⁉
なにを言っているの?
「や、やだなぁ……そんな冗談面白くないよ」
声がふるえた。
萌香ちゃんの言ってることが、冗談であってほしかった。
だけど淡い期待はすぐに打ち砕かれる。
「ははッ!アリアさんの正体を追った新聞部のエース。夜の学校で転落事故!どう?この見出し。最高にエンタメじゃない?」
叫んだ声が、静まり返った学校に響き渡る。
はじめて萌香ちゃんが怖いと思った。