アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜

「やだよ!そんなこと……」

 言い返そうとする星七くんの腕を、ぎゅっと引いた。

「星七くん、今はアリアさんに従った方がいいんじゃないかな」

 だって反論して、アリアさんを怒らせたら、この学校から出られないかもしれない。
 そう考えたら、星七くんの腕を掴む手が震え出した。

「まあ、確かにそうだな……」
 
 星七くんはうなづいた。

 引き留めたのには、もうひとつ理由がある。
 以心伝心ゲームは、答えを合わせるゲーム。

 付き合っているわたしたちには、あっさりクリアできるんじゃないかな。
 そう思ったんだ。



 隣に視線を向けると。
 安堵するわたしとは反対に、星七くんの表情は曇っているようにみえた。

 どうしたんだろう。
 わたしたちなら、絶対にクリアできるのに。


「もしも……正解できなかったら?」

 不安そうに星七くんは、アリアさんに質問する。

「ここから出られないよ」

 そしてにたりと笑う。

「永遠にね……」

 アリアさんの不気味な表情に、全身にぞくっと寒気が走った。
 安堵していたわたしは、すぐに後悔する。
 

 そして、思いなおした。

 簡単にクリアできる。
 だなんて思ったのは間違いだった。

 今からはじまるのは、友達同士でするような楽しい以心伝心ゲームなんかじゃない。
 
 これからはじまるのは……。
 おそろしい以心伝心ゲームだということを。
 
< 17 / 113 >

この作品をシェア

pagetop