アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
迷い人1人目 恋の以心伝心ゲーム
「えっ、なにか入ってる……」
わたし一ノ瀬杏樹は、ごく普通の中学二年生。
5時間目の授業が終わった放課後。
学校から帰ろうと、昇降口で靴箱の扉に手をかけていた。
ゆっくりと扉を開けると、あるはずのないものが入っていた。
「……これ、なんだろう」
それは見慣れない真っ黒の封筒。
手に取って送り主の名前を探してみたけど、見当たらない。
不思議に思っていると、わたしはハッとする。
もしかして、これって……。
「どうしたの?」
あとから昇降口にやってきた奈央ちゃんが、顔を出して覗き込む。
わたしは慌てて封筒を背中に隠した。
「な、なんでもないよっ」
「……ふーん」
一瞬不思議そうにしたけど。
奈央ちゃんはそのまま靴を履いて外に出ていった。
よかった。なんとかごまかせたみたい。
心臓がどくんどくん。と音を立てている。
この手紙を隠したのには、理由がある……。
きっと、この手紙の存在を言ってはいけないと思ったからなんだ。