アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜


「俺は、手紙に杏樹って書いてあったから、ここに来たんだ。それなのに、待っていたのはお前で、わけがわからなかった。聞こうとしたら、無理やり学校の中に引き込まれて……もう、なんなんだよ」


 呼吸をするのを忘れた。
 ずきん、頭に強い痛みが走る。

 あれ。なんか心が引き裂かれたように痛い。
 放心状態のわたしの元にアリアさんが近づいてきた。


「クスクス。少し思い出してきた?」

 思い出す?一体なにを……?


「前から怖かったんだよ。杏樹が髪を切ったら、次の日同じ髪型にしてきたり」

 星七くんの言葉を聞くと、少しずつ記憶が蘇ってくる。

「筆箱とか、キーホルダーとか。全部杏樹と同じものに変えたりさ……正直気味悪かったんだよ」

 顔をわかりやすく歪ませる。
 

「以心伝心ゲームの答えも、ほとんど話したことないのに。好きな食べ物も、家族構成とか知ってたり。怖すぎなんだよ…!」

 突き刺すような冷たい視線で、わたしのことを見る。

「お前は俺の彼女でもないし。杏樹でもない。ただのクラスメイトの木下来夏だろ!」

 木下来夏。
 その名前を聞いた瞬間――。
 息が止まった。
 そして全てを思い出したんだ。

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