アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜

 星七くんの言う通り。
 わたしは……杏樹じゃない。
 木下来夏。ただの冴えない女の子。
 ただの星七くんに片思いをしてる女の子だ。

 星七くんの本物の彼女「杏樹」は、くりっとした大きな瞳が可愛らしい女の子。
 明るくて活発な性格でクラスの人気者。

 わたしは、杏樹が羨ましくて……
 ――憎かった。


 わたしはいつからか、自分を星七くんの彼女「杏樹」だと思い込んでいたらしい。

 全てがつながると、わたしの思考は停止する。

「あはっ、あはははは!」

 なんだか笑えてきた。
 自分を見失って、他人だと思い込むなんて。

「だから、悪いけど。このゲームに勝つのは、ヒントがないと厳しいんだ。俺は来夏のこと何も知らないから……」

 そして星七くんはアリアさんに向かって続ける。

「アリアさん!頼む!少しヒントが欲しい」

「うーん。どうしようかなぁ。……クスクス。ねぇ、どうすればいいと思う?来夏ちゃん!」

 アリアさんは忍び笑いをしながら、わたしに質問をした。

 どうしたらって言われても。
 ゲームに勝つためにヒントが欲しいに決まってるよ。

「そんなの……ヒントが欲しいに決まって……、」

 あれ。でもここから出られたとして。
 わたしにはなにが待ってるんだろう。


 大好きな星七くんは、彼女がいて。
 また2人が仲良くしているところを、見て心が傷ついていくの……?

 わたしはあることを思いつく。

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