アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜


 すぐ手が届くところまできたのに。
 優斗くんは、すっと手を引いたんだ。

 いったいどうして!

「……ごめん。助けられなくて」

 確かに聞こえたのは謝罪の声。
 わたしはすぐ近くにいた友達、優斗くんに見捨てられた。

 
 記憶が頭の中に蘇った。
 全て思い出したんだ。

 
 …そうだ!わたしが最後に見たのは。
 溺れるわたしを助けようともしなかった二人の顔。

 二人の表情も鮮明に思い出した。
 感情が込み上げて、ぐっと顔がゆがむ。




 そんなわたしにアリアさんは声をかけた。


「かわいそうに。怨念のせいで二人から離れられなくなっちゃったんだね?」

 悔しくて、下唇をぎゅっと噛み締める。

 わたしが死んだ理由も。
 死んだあとも、二人のそばにいる理由も。

 全部、思い出してしまった。
 

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