アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
お父さんは仕事でいなかったし。
わたしでも、お母さんでもなければ、いったい誰がましゅちゃんをここにおいたんだろう。
ましゅちゃんが、ここにいる理由を探すと、どきりと胸がざわついた。
ゆっくり振りかえって、ましゅちゃんを見つめる。
リビングテーブルの上に座るましゅちゃん。
じっと動かずそこにいるだけ。
動かないましゅちゃんを見て、なんだかほっとする。
ま、まさかね…。
ましゅちゃんが自分で出てこれるわけないもん。人形なんだから。
いつも通りリビングで夜ご飯を食べた後、わたしはましゅちゃんを自分の部屋に連れていくことにした。
「ましゅちゃん、懐かしいなー」
なんだかましゅちゃんを見ていると、心がぽわんとあたたかくなった。
子供のころは、こうやってよく話しかけてたなあ。
「ねえ、ましゅちゃん、どうやって出てきたの?」
「……」
なーんてね。
ましゅちゃんからの返答はない。人形だから当然なんだけど。
わたしは、ましゅちゃんを押し入れにしまわなかった。
その代わりに勉強机の上に座らせることにする。