アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜


 
 わたしは帰るために、カバンを手に持った。

 ゴクリと息をのむ。
 倒れたときは、ましゅちゃんと目があった瞬間に、体が重くなったような気がした。

「大丈夫か? やっぱり一緒に帰るか?」
 
 固まる私に気づいたのか志音くんは、いつもより優しく声をかけてくれた。

「だ、大丈夫!うん、大丈夫だから」


 ふうっと、深く息を吸い込む。

 
 それからゆっくりとカバンの中を確認する。
 ……やっぱりましゅちゃんがいた。


 家にいたはずのましゅちゃん。
 わたしがカバンに入れ間違えるはずなんてない。

 志音くんが言った通り。
 ましゅちゃんがわたしを呪っているのかもしれない。
 理由はわからないけれど。

 どくんどくんと心臓が音を立てる。

「本当に大丈夫か?」

 志音くんに声を掛けられ、ハッとする。

 やっぱりこの人形はおかしい気がする。
 そばにいては……いけない気がするんだ。

 震える手のひらをぎゅっと握って力をこめる。

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