アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜

「えー。どうしようかなぁ。アリアと遊んでくれる?」

「た、助けてくれるなら!あの幽霊から助けてくれるならあそぶよ!」

 もうヤケクソだった。
 だって、どの選択が正しいのかわからない。


『アソボーヨ!!』

 
 話し合いをしているわたしたちの間に割って入ってくる。
 どうやら待ってはくれないみたい!

 幽霊は不気味な声をあげながら、こっちに向かってくる。

「こ、こないで!!!!」


 黒い幽霊が追ってくるので、わたしは逃げるためにかけだした…!


 後ろを降り向くと、しっかり後を追いかけてきている。


 イヤだ。なんで追いかけてくるの⁉︎
 怖くて泣きそうになる。

 

「今日はわたしも逃げる側なのね。フフフッ、いつも追いかける側だったから、うれしいナ」

 アリアさんは、ふわりふわりと浮いてわたしの後をついてくる。
 
 
 …いつも追いかける側。
 確かにそう言ったよね?
 よし。その物騒な言葉は聞かなかったことにしておこう。

 
「ねえ、あなた最近どこかに出かけた?」

 いつのまにか、近くを浮上していたアリアさんはわたしの顔を覗き込む。

 目の前の奇妙な見た目の幽霊を見たからなのか、アリアさんに対しての恐怖心は薄れていた。
 まあ、アリアさんも幽霊のはずなんだけどね。


「えっと、お父さんと川に釣りに……」


 わたしは走りながら、なんとか質問に答える。

「フフッ。そこで憑いてきちゃったのかなー。ここら辺の幽霊じゃなさそうだもん。クスクス」


 アリアさんは、なんだか楽しそうに笑う。
 ましゅちゃんを両手で抱きかかえながら。

 
 その様子をみて、違和感を覚える。
 あれ……。ましゅちゃんの腕がほつれてる。今にもぽろっと取れてしまいそうだ。

 そしてあちこちが傷の様に裂けていた。
 なんだか、どんどんぼろぼろになっていく気がする。
 
 いったいどうして?
 ましゅちゃんの様子の変化に、気を取られていた時だった。


 急に肩のあたりがずんと重くなる。
 この重みは、あの日からずっとあったものだ。

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