アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜


「……っ、おもい……なんで、」

 ずんと、なにかが絡みついているように重い。
 ふと、気配を感じた。

 慌てて後ろを振り向いた。
 だけど、わたしを追いかけていた黒い幽霊の姿はない。

 あれ、さっきまで後ろにいたのに……。


 幽霊の姿はいなくなって。
 ほっとするどころか、なぜかイヤな胸騒ぎがする。
 おそるおそる一番痛みを感じる右肩に視線を落とすと。

「いやあーー‼」

 わたしは思わず声をあげた。
 だって私の肩に、ニヤリと笑う幽霊が。
 ぎょろりと、目玉らしきものと目があった。

『トモ、ダチ……』

 背後を走っていた黒い幽霊は、わたしの肩に憑いていた。

 身体が震えてしまいそうになるほど、気味の悪い声。
 慌てて振り払うように離れても、幽霊はヨタヨタとわたしにむかってくる。

「やだ!やめて…!わたしはあなたの友達じゃない!」
『キャハハハ…!トモ、ダチ』
 
 必死に訴えるけど、わたしの話なんて聞いていないようだった。
 ニタニタとを笑う表情が怖くて、寒気が止まらない。

 笑いながら伸ばしてくる手から逃げるように走った。

 
 
「クスクス。上手にさけられたね!あの手に捕まってたら、連れていかれちゃってたよ。フフッ」
 
 またわたしの近くをふわりと浮いているアリアさん。
 なんだか楽しそうにはなす。

「連れていかれちゃうって……?」
「そりゃあ、こっちの世界にだよ!なんかあの子はあなたをトモダチだと思ってるみたいだね」


 なにそれ、困るよ。
 勝手に幽霊に友だち認定なんてされちゃったら。
 

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