アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜

 
 わたしは幽霊から逃げるために、暗くて光もない夜の学校内を必死に走る。


 ハア、ハア。息が上がる。
 どこを目指せばいいのかわからない。

 光がない夜の学校の恐ろしさに足が震えた。
 一度足を止めてしまえば倒れてしまいそうだった。


 息を吸うのが苦しくなってきた。
 すると、窓から差し込む月の光で、目の先にある教室が音楽室だとわかった。

 もう、走りすぎて足が動きそうにない……。

 そう思ったわたしは、そのまま音楽室へと逃げ込んだ。

 体を隠すために、グランドピアノの下に潜り込む。
 全速力で走ったせいで、ハァハァと息が荒くなる。

 自分の口を両手でふさぎ、息をひそめた。

 ここにはこないで。お願い…!

 心の中で願ったけど打ち砕かれるのは、思っていたよりずっと早かった。



『キャハハハ。トモ、ダチ』

 幽霊はすぐに音楽室へとやってきた。
 まるでわたしの居場所を知っているかのように。


『かくれん…ぼ?タノシイネ』

 か、かくれんぼ!?
 そんなあそびしてるつもりなんてないのに。

 楽しんでいるかのように、ケラケラと笑った。

 その不気味さに、ガタガタと体が震え出す。
 怖いよ。誰か助けて。

 そう願いながら目をぎゅっとつむる。


 すると幽霊の声も、物音も聞こえなくなった。
 あたりはしんと静まり返っている。

 もしかして、音楽室から出てった……?
 確認しようとぱちりと目を開けた。

 つぎの瞬間。


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