アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
「なーんだ!あの幽霊はただトモダチが欲しかっただけみたいだよ!消えちゃって。かわいそうに。クスクス…」
どこからか現れたアリアさん。
意地悪に笑う。
そんな……!
ただ友達がほしかっただけ。と言われても。
わたしは、幽霊と友達になんてなりたくないよ!
あの幽霊が消えてくれて、ホッとして泣きそうなくらいなのに。
そんなことより!
わたしは抱きかかえたましゅちゃんのことが気がかりだった。
「ねぇ、アリアさん! わたしに憑いてたのは、あの黒い幽霊だったんだよね?」
「そうだよ?」
だったら。
ましゅちゃんは、いったい……?
「ましゅちゃんは……どうしてわたしの前に現れたの?」
「まだわからないの?」
ふんっと眉をひそめるアリアさん。
なんだか怒っているように見える。
「あの幽霊が憑いてきちゃった日から、あなたが連れていかれなかったのは、その子が必死に守ってくれたからだよ!」
つまり、ましゅちゃんがいなかったら。
わたしはあの幽霊に連れていかれてたってこと!?
ウソ!そんなことが……。だって、だって。
なにも知らずにましゅちゃんをゴミ箱に捨てたなんて――!
「そんなにボロボロになるくらい、身を挺して守るなんて……アリアには信じられない」
そう言って呆れた顔をする。
ま、まさか!
こんなに身体がボロボロになったのは、わたしを守ってくれていたからなの!?
「ましゅちゃん、ごめん!守ってくれてたなんて知らなくて。捨てたりしてごめん!」
『人形って魂がやどるっていうよね!』
葉月ちゃんが言っていたことを思い出した。
ましゅちゃんには魂が宿ってたんだ。
そして、わたしを必死に守ってくれた。
それなのに。それなのにわたしは……。
なんてひどいことをしてしまったんだろう。
ましゅちゃんをゴミ箱に捨ててしまった後悔と。
呪いの人形だなんていった罪悪感。
いろんな感情で、ぽろぽろと涙が流れた。