アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜

♦︎

「裁縫セットなんて持ち出してどうしたの?」

 お母さんは針と糸をもって格闘するわたしに、驚いたように声を掛ける。

「ましゅちゃんの腕が取れちゃったから、なおすんだよ!」

 不器用に針と糸を使う私を見て、呆れた顔をする。





 あの後、気づくとアリアさんの姿は消えていた。
 おそるおそる閉められていたドアを開けると、すんなりと開いたんだ。


 夜の学校に招待されたら。
 恐ろしい見た目の幽霊に追い回されて……。

 あの出来事は、現実とかけ離れすぎてた。
 まるで、すべて夢だったような…。
 そんな風に思ったけど。

 ぼろぼろになったましゅちゃんをみて、現実だったとも思い返した。
 
 

 

「下手くそだなぁ。お母さんがやってあげようか?」


 ましゅちゃんの腕をなかなか上手く直せないわたしを見て。
 お母さんは痺れを切らした。


 だけどわたしは断る。


「わたしが治してあげたいんだ」
「あらあら。そんな子供みたいなこと言って……ぼろぼろになった人形なんて捨てた方がいいわよ」
「捨てないよ!」

 わたしはすぐに言い返した。




 もう捨てないよ。
 だって、わたしとましゅちゃんは友達だから。


 そう伝えた瞬間、薄いピンクの瞳がキラっと輝いて見えた。

 



 
 


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