アリアさんの幽閉教室〜5分間恐怖の世界〜
「だって、その方法しか夜の学校に忍び込める方法ないじゃん!」
この作戦が無茶苦茶だってことは、わたしも知ってる。
だけどここまで来たらもう開き直るしかない!
「……本気なの?」
萌香ちゃんはまだ納得していない様子。
わたしは大きくうなずく。
「うん!本気だよ!それに、ばれなければ大丈夫!」
「でも……夜の学校でひっそり忍んでるなんて怖すぎない⁉」
うっ。そういわれると、少し怖気づいてしまいそうになる。
「こ、怖くないよ! わたしはスクープのためなら……こわくない!」
心の奥に顔を出した怖いという感情を消したくて。
わたしは、にかっと笑った。
「スクープかぁ」
萌香ちゃんは、ぽつりとつぶやいたあと、悲しそうにほほ笑んだ。
ひょっとして、なにか気にしてる……?
大丈夫だよ。だって、ここはわたしが……!
「大丈夫!わたしが萌香ちゃんの代わりに、でっかいスクープ取ってくるから!」
なんだか悲しそうな顔をしたので、わたしは励ますように大きな声を出した。
この学校で怖い噂があるアリアさん。
恐怖のエピソードを手に入れて。
アリアさんには、みんなが震えるような恐怖の存在になってもらわないとね。
こうして、わたしはアリアさんのスクープ記事を書くために。
夜の学校に忍び込むこととなった。
この時は知らなかったんだ。
まさか、あんなことになるなんて――。