傾国の貴妃
1
これはいつのご時世であったか。
今ではもう、定かではない。
真か、偽か。
それさえも、知らない。
昔々、世界は一つの大陸だった。
海という隔てのない、どこまでも続く陸地。
そこを治めていたのが、シルフィード王国。
王国、といっても、シルフィード王国は陸地に散在する“邑”という様々な都市国家の連合体の盟主であった。
それぞれの文化を持つ邑を争いなく統治するための、絶対的な国家組織。
それが、シルフィード王国。
今では、伝説となっている幻の王朝……――