傾国の貴妃
「……え?ギルが?」


「ええ!新年の宴の時に是非と。それはそれはとても素晴らしいドレスですわ」


触れて、さらに驚く。

今までに着たこともないような、着ることすら躊躇してしまいそうなそのドレスに、驚きは隠せなかった。

ルシュドにはお金がない。

だから当然、そこの姫君だからといって、必ずしも豪華な生活を送っていたわけではなかった。

だから私の一張羅というのも、知れたもの。

エリザベート様と並べば、その差は一目瞭然。

こんなに良い生地や宝石がふんだんに使われたドレスは、夢のまた夢だと思っていたのだ。

それなのに…


「…純白のドレス…」


更に私を驚かせたのは、その色。

贈られたその白の意味に、私のキャパシティはもう限界。
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