傾国の貴妃
嵐が来る。

ざわざわと胸の奥がどうしてだか苦しい。

喜ぶべきなのに。

そのドレスに。

その白に。

その意味に。

触れることさえ、躊躇われる。

どうして?

なんで?

ギルはきっと望んでる。

これは女として生まれた私にとって、至福の喜びであるはずなのだ。




――結局のところ、私はまだ覚悟が出来ていなかったのかな。



嵐は避けられない。


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