傾国の貴妃








「ストレスから来る病でしょう。何、心配はありますまい。ゆっくり静養して、栄養のある物をお食べになり、ご自身のお身体を労ることです」


「そうですか…」


すぐに王族担当のこの国随一の名医が呼ばれた。

静かに告げるその言葉をこの王宮に住む他の姫君たちに比べ、やけに日当たりの悪いその部屋のベッドの上で聞く。

簡素な部屋とは不釣り合いなほど、素晴らしい細工の施されたふかふかのベッド。

それは数日前にギルがプレゼントしてくれたものだった。

他にも大きな洋服箪笥に、立派なシャンデリア、化粧台に、ソファ。

他にもいろいろ。

全てはギルからのプレゼント。

全てが不釣り合いに感じてしまうのは、仕方ないことのように感じる。

前にあったキングサイズのベッドはルシュドへと届けられた。

あれらはルシュドにとったら最高級品と言っても過言ではなかったから。
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