傾国の貴妃
2
昔々、それはいつのことであったか。
今ではもう定かではないが。
ある一人の王が国を治めていた、そんな御時世。
その王には、生涯ただ一人だけ。
愛した美しい姫君がいた。
二人は盲目のように。
お互いしか見えないように。
ただお互いを求めた。
名を呼び、名を呼ばれ。
触れて、触れられて。
それだけで、ただお互いがお互いのそばにいるだけで、二人にとっては至福の時だった。
その盲目までの愛が、時として仇となることも知らずに……――