傾国の貴妃
一年前、私がここへ遣わされた理由。

それはここ何百年と続く長い長い歴史にあった。

今、世界には18の邑という、それぞれの領主が管理している国がある。

その全てを支配し、束ねているのがシルフィード王国だ。

国王は完全な氏族制。

故に世継ぎを作ることもまた、王でいるための義務。

そこで生まれた制度が、今私がいる理由。

王、またはその世継ぎが適齢期と呼ばれる時期になると、各邑から一人、姫君を贈ることを、何代も前の王が定めたのだ。

世継ぎを作るための、王の伴侶として。

いや、体の良い側室、と言った方がいいかもしれない。

選ばれた18の姫君たちは、それぞれの邑の運命を背負ってこの城へとやって来る。

王の世継ぎを生むために。

自分の邑のために。

自身のために。

自らの子が次の王となれば、自分の故郷である邑の繁栄は確実。

邑の長はそのために娘を作るといっても、過言ではない。
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