傾国の貴妃
実はこんなにのんびりとした時間は久しぶりのこと。

ギルはここ最近、とても忙しそうに動き回っていた。

それもそのはず。

もうすぐ新年。

新年には年に一度きりの大規模なパーティーが催されるのだ。

主催者はもちろんシルフィード国王。

その日は東西南北、全ての邑の大公たちが集う唯一の日。

皆それぞれに美しく着飾り、楽しく過ごしながら新年を祝う。

ここ最近のギルはその準備で大忙しだった。

招待状を送ったり、様々な余興のために人を手配したり。

シルフィード中の有名な料理人を集めたり、当日の移動手段を確保したり。

新年のパーティーはその年の更なる繁栄を願う大切な行事。

他とは比べ物にもならないほどに、体力と気力を要するのだ。
< 96 / 107 >

この作品をシェア

pagetop