冷徹王子の甘い笑顔
「逢原弥兎、だろ?」

「っ!」

フルネームで名前を呼ばれただけなのに胸がきゅうっと苦しくなった。

「あれ、違った?」

私が何も言わないから首を傾げる。

「あ、ううん!あってる。大丈夫
名前を知っているとは思っていなくてちょっと驚いたというか」

そこまで言ってハッと気付く。
今の発言って結構失礼だったんじゃ・・・?

「クラスメイトの顔と名前は全員覚えてる」

「え・・・」

でかけた言葉をグッと飲み込む。
だって誰とも会話しないし、顔だって見てないのにどうして。

「毎日同じ教室で過ごしてるのに覚えなかったら相手に悪いだろ」

私の表情を見て何かを察したのか言葉を付け加えた。
目の前にいるのは冷徹王子と呼ばれている人のはずなのに、
冷たい印象など全く感じなかった。

「それだったら、どうして、どうして誰とも会話しないの」

無意識にそう言葉にしていた。
気付いた時にはもう遅かった。

「・・・」

「あ、ごめん。今のなし」

皇坂くんの顔がすごく寂しそうでこれ以上は何も聞けなかった。
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