冷徹王子の甘い笑顔


土曜日。
今日の天気も気持ちいいくらいの晴れ。

私はとあるところに向かって歩いていた。
その場所が近付くにつれ、心拍数が上がっているのが自分でも分かる。

あれから学校で皇坂くんと話すことはなかったけど、
目が何度か合うようになったり、
帰りの電車で一緒になったときだけ皇坂くんが降りる駅まで話したりと
少しずつだけど確実に距離が縮まったような気がする。

昨日の帰りも同じ電車になり、駅に着くまでのあいだ何気ない話をしていた。
その会話の中で「明日会わない?」という流れになったときは驚きすぎて言葉がでなかったけど、
二つ返事ですぐに了承した自分にも驚いた。

「燈真が部活から帰ってくるまでの間だけでも会えるんだよなぁ」

本当だったら今日は部活がお休みだったらしいが、
急遽来週と変更になったみたいで部活が終わったらいつも練習している公園で待ち合わせをしてる。

それまでの間だけでも会うことになったのは正直、嬉しい。

「嬉しいって思ってるってことはそういうことなんだよね・・・」

自分の気持ちだからこそ鈍い時もあるけど、
今の私だと分かりやすいくらいだと思っていた。

「皇坂くん、もういるかな」

燈真と皇坂くんがいつも練習で使っている公園。
私が初めて皇坂くんの笑顔を見た場所。

「誰も知らない、皇坂くんと私2人だけの秘密」

声に出してみると途端に胸がきゅっとなる。
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