冷徹王子の甘い笑顔
誰にも知られたくない。
あんなにも綺麗に優しく笑う皇坂くんの姿を。

「逢原さん!」

胸をおさえながらトボトボ歩いていると名前を呼ばれた。
反射的に呼ばれたほうを見る。

「皇坂くん!」

私の方を見ながら軽く手を振っている姿を見るだけで鼓動が早くなる。
気持ちが言葉に出てしまいそうでグッと堪えた。
駆け足で皇坂くんのいる場所まで行く。

「ごめん、待たせちゃった」

「いや、俺も今来たところだから大丈夫」

「ありがとう」

2人で近くにあったベンチに座る。
ちょうどそこだけ日陰になっていて涼しい。

「・・・」

「・・・」

座ってからしばらくお互い何も話さず、公園の景色をじっと見ていた。

「不思議だなぁ」

「?」

前触れもなく話し出した私に首を傾げて皇坂くんは見つめる。
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