冷徹王子の甘い笑顔
「先週まで全く話したことなかったのに、今では普通に話してるの不思議」

そう言い、皇坂くんの顔を見つめて微笑む。

「まぁ、確かに」

笑いながらバスケのコートを見ていた。
私も同じように見る。

小学生の男の子数人が楽しそうにボールをついて遊んでいた。

「燈真とここで会わなければ逢原さんと話すこともなかったんだよな」

ぽつりと零れた言葉にドキッとする。
そうだ、燈真がいなかったら私と皇坂くんは話すことなんてなかったんだ。

「燈真に感謝だね」

「だな」

お互いに顔を見て笑う。
楽しそうに笑うその笑顔にもう惹きこまれてしまっている。
胸が苦しい、私、皇坂くんが好き。

「あ、のさ、、、あっ」

思わず気持ちが溢れそうになったとき、
小学生の男の子たちが遊んでいたバスケットボールが私たちがいるベンチに転がってきた。

「あ!すみません!」

身長が一番大きな男の子が皇坂くんに頭を下げながらこちらに走ってくる。

「そこにいて!」

そう大きな声で叫ぶと男の子は立ち止まった。

「いくぞー?」

構えからして男の子にパスをするのだろうか。
男の子も理解したのか笑った。

シュッ

皇坂くんから放たれたボールはしっかり男の子の元に届き、
男の子もしっかりとキャッチした。
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