冷徹王子の甘い笑顔
学校が終わり、咲羅と一緒に駅までの帰り道、
「それにしても皇坂くんは何であんなにも冷たいんだろうね」
傘をくるくると回しながら咲羅が話し出す。
「人と関わるのが好きじゃないのかな?」
「そうだったとしてもさすがに冷たすぎじゃない?
話しかけてもほとんど返事しないし、先生との会話でしか声聞いたことないけど」
「たしかに・・・」
ふと思い返せばクラスメイトと話している姿を見たことは一度もないかもしれない。
いつも一人で行動しているようだった。
「あれ、でも男子とは会話してない?」
「あー、一人だけいたね。クラスの委員長」
名前を思い出せないのか「うーん・・」と咲羅が考え込んでいる。
「柴田くん、ね。そろそろ覚えてあげなよ」
「あ!そうだ!柴田くんだ」
人の名前を覚えるのが苦手な咲羅はいまだにクラスメイトの半分以上の顔と名前が一致していない。
「ほんとに顔と名前を覚えるの苦手・・・。
印象に残れば一発なんだけどな~。皇坂くんみたいにさ」
「柴田くんも結構印象に残ると思うけどな。
ほら、胸に熱いものをもっている裏表がない感じのタイプだし」
「そうだっけ~?」
この様子だと顔がでてきているかも怪しく思えてきた。