冷徹王子の甘い笑顔
「あ、そう言えば」

頭を撫でられていた燈真が私の方を見る。

「ん?」

「お兄さんとお姉ちゃんって付き合ってるの?」

「えっ」
「はっ」

私と皇坂くんの声が重なる。

「付き合ってないよ!何言ってるのっ」

「いや、だって何か急に距離感が近くなったからそうなのかなって」

「同じ学校でクラスも一緒だから話すだけだよっ」

間違ってはいない。
自分で言っていて胸が痛いけど、本当のことだから。

「ふーん」

燈真は皇坂くんのほうをチラッと見た。

「なに」

「んふっ、別に何でもないです」

何が可笑しいのかニヤニヤと笑っていた。

「ほら!変なこと言う時間あったら練習しないと!」

ぐいぐいと背中を押し、荷物をベンチに置かせる。

「ちゃんとやります~!
お兄さん、今日もお願いします!」

燈真の元気な挨拶に皇坂くんも笑顔で返事をしていた。
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