冷徹王子の甘い笑顔
2人の距離
大会に出場できることになった燈真は大会当日までの間、皇坂くんとともに毎日のように練習をしていた。
皇坂くんも燈真のやる気がヒシヒシと伝わってくるのか練習にも熱が入っているようで、
帰りの電車で一緒になる日があるときは練習の様子を聞かせてくれた。
大会までの1か月の間に変わったことと言えば、
学校で皇坂くんとよく目が合うようになった。
話すことはほとんどないけど2人きりになると自然と会話がうまれる。
学校で笑っている時はないけど、公園で練習しているときはよく笑っているから
その笑顔を見れるだけで嬉しかった。
あと一つ変わったことと言えば、
「ねぇ!今日って皇くんと何時に来るの?」
燈真が皇坂くんのことを皇くんと呼ぶようになった。
ずっとお兄さん呼びだったけど気付いたら変わっていたらしい。
「試合が始まる前には会場にいるよ。どうして?」
「試合が始まる前に皇くんに会えるなら会いたいなって。
やっぱり緊張するから顔見て話したい・・・」
「あははっ、わかった。伝えとくね」
「お願いします!じゃあ行ってきます!」
「うん、いってらっしゃい!今日は頑張ってね!」
元気よく玄関から出て行く燈真の背中を見えなくなるまで見送ると家に戻り、
私も着替え始める。
今日は燈真が初めて大会に出場する日。
中学生になって初めての大会。
私が出場するわけじゃないのに昨日から全然眠れなかった。